目次 [閉じる]
「万博が終わる実感が湧いてくる」
皆さんおやっとさぁ!鹿児島のトークセン・ビハーラの折田です。とうとう大阪万博も終わっちゃいましたね。行くことができなくて残念でした。
「万博が終わる実感が湧いてくる」
そんな言葉とともに、会場で掲げられていた各国の旗が一斉に降ろされたというニュースが報じられました。(Yahoo!ニュース)
167枚の旗が静かに降りるその瞬間、世界中の文化と知恵が一つの物語を閉じるようでもありました。
そしてその中で、ひときわ印象的な香りを残していたのが――タイ伝統医療でした。
香りの中に息づく“医療の原点”
大阪万博のタイ館「VIMANA THAI」では、「免疫力」をテーマに、自然と人との調和を描く展示が行われました。
その中心にあったのが、ハーブと伝統医療の融合です。
薬用植物が並ぶ中庭を抜けると、アロマの香りに包まれた展示ゾーンが現れ、訪れた人々はまるで「癒しそのものの空間」に足を踏み入れたかのような感覚に。
アロマやハーブボールを使ったデモンストレーション、体験型ワークショップでは、目に見えない“気”や“風”の流れを意識するタイの知恵が伝えられていました。
単なるリラクゼーションではなく、身体・心・精神を整える包括的な医療体系としてのタイ伝統医学。
その奥深さに、多くの来場者が静かに息をのんだといいます。
科学と伝統が出会う場所
今回の展示では、伝統だけでなく最先端技術との融合も際立っていました。
たとえば「Herbble Sprays」という製品。
タイの伝統ハーブを活かし、インフルエンザウイルスの蓄積を抑える研究成果をもとに開発されたスプレーで、伝統の叡智が科学の言葉で再解釈される瞬間でもありました。
タイでは、ハーブを単なる“自然素材”としてではなく、医療・公衆衛生・精神文化に結びつけた体系として継承しています。
タイ厚生省が正式に「タイ伝統医療(Thai Traditional Medicine)」を国の医療制度に組み込み、大学でも専門的に学べる時代になりました。
つまりこれは「古い文化」ではなく、生き続ける知恵なのです。
人の身体は「風」でできている
タイ伝統医療の根底には、“風(Lom)”という概念があります。
それは、体内を流れるエネルギーであり、血やリンパのように「動く生命力」。
この風が滞ると、痛みや不調が生まれる――という考え方は、東洋医学の「気」やインド医学の「プラーナ」とも響き合います。
展示では、この「風」の流れを感じ取るセラピーとして、タイ古式マッサージやハーブボール療法が紹介されていました。
肩に、腰に、そして心に。
温かなハーブの香りと圧が伝わると、不思議と呼吸が深くなり、全身に風が通り抜けるような感覚が訪れます。
それは、科学だけでは説明できない――けれど確かに“整う”という実感。
この体感こそ、タイ伝統医療が今も人々に愛される理由なのかもしれません。
「治す」ではなく「戻す」医療
タイではこう言われたりします。
「私たちが行うのは“治す”ことではなく、“元に戻す”ことだ」と。
ストレスや疲れで乱れた体内のバランスを、ハーブ・呼吸・手技を使って整える。
そのプロセスの中で、人は自分の自然治癒力を思い出していきます。
つまりタイ伝統医療は“人間を自然に戻すための道”なのです。
万博会場のタイ館には、そんな“回帰”の思想が静かに流れていました。
それは展示の華やかさではなく、香りや温度、祈りのような空気を通じて伝わってきます。
ハーブが導く五感の再教育
タイの伝統医療を支える柱のひとつがハーブです。
その数実に千種類を超えると言われ、生活のあらゆる場面に使われています。
• レモングラス:気の流れを整え、頭をスッキリさせる
• ガランガル(タイしょうが):消化促進・冷えの改善
• タマリンド:便通促進・デトックス作用
• ホーリーバジル:ストレス軽減・免疫バランスの調整
• ウコン(カミン):抗炎症・抗酸化作用
これらの植物は、薬でもサプリでもない。
【日常の中で使う医療】です。
料理に入れ、お茶にし、時に体に塗る。
そのシンプルな行為の中に、「人間は自然の一部である」という哲学が息づいているのです。
学びたくなる“伝統”がここにある
もしこの記事を読んで、少しでも「タイ伝統医療を知りたい」「学んでみたい」と感じたなら、それはあなたの中に“風”が動き始めた証拠です。
タイでは、この医療体系を支える多くの学校があり、外国人でも学べる門戸が開かれています。
例えばチェンマイのCTM(Chiang Mai Traditional Massage School)などでは、ハーブの調合や体質診断、タイ式マッサージを一体として学ぶことができます。
そこでは、人体を“地・水・風・火”の四大元素で捉える伝統理論が今も息づいており、現代人の心身の乱れに対して驚くほど的確な洞察を与えてくれます。
鹿児島から続くタイ伝統医療の風
鹿児島のサロン【トークセン・ビハーラ】では、万博で紹介されたハーブ文化や四大元素の考え方をもとに「風の通る身体づくり」をテーマにしたセッションを行っています。
体内の風を整える“風の門”、トークセン、チネイザンなど、どれもタイ伝統医療の流れを汲みながら、現代人のストレスや疲労に寄り添う技法です。
万博で感じた香りや空気を、ここ鹿児島で再び体験できる――
そんな“地続きの癒し”を感じていただけたらと思います。
終わりではなく始まりの合図
万博の旗が降りても、ハーブの香りは消えません。
それは、文化としての生命力そのもの。
今、世界が求めているのは「進化する医療」ではなく、「回帰する医療」なのかもしれません。
人が自然と共に生きるということ。
触れ、香り、感じること。
そのすべてが“医療”であると、タイの伝統は教えてくれます。
あなたが今日一杯のハーブティーを飲むとき、もしかするとその香りの奥に、未来の医療のかたちがそっと息づいているかもしれません。
今日もブログを読んでくださってコップンカップ。
